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今夜の番組チェック


ナルシスト〜Davidの憂うつ〜
陶デビッドはイライラしていた...今日は、リーホンが遅番のため、まだ出勤していないせいだ。
しかも、遅番にした理由というのが「友人がライブを行うので、ピアニストとしてゲスト出演するため」というのだ。
(そう遠くない、近所のライブハウスだ。ちょっと店を抜け出して見に行こうか..)彼は悩んだ。
(でも俺は..リーホンが他の男と親しくする姿なんて見たくないんだ!)そして、彼が考えたのは、自分が弟のように大事にしているジミーとレイモンドに様子を見に行かせることだ。
ジミーはつい先日、実業家の父・ハン氏により、社会勉強という名目でこの店に預けられた。育ちの良い、陽気なお坊ちゃんにこの店での仕事が勤まるか、デビッドは不安だったが、それは希有に終わった。ジミーは、素晴らしい肉体の持ち主で(特に二の腕から、胸板にかけての筋肉の力強さは息を飲むほどだ)、話上手だった。ただ時々、気に入らない客に当たると、控室に行ってはかんしゃくを起こすことがあり、それがデビッドの心配の種だった。
レイモンドは..この青年は、知人が紹介してくれた台湾からの留学生だ。デビッドよりも小柄な体で、穏やかな性格をしている。なんといっても、可愛いのは自分を慕ってくれていることだ。(その証拠に、髪形まで自分と同じにしているじゃないか..愛いやつめ)。デビッドも、そんな彼によく気を配っていた。

その頃、リーホンは友人G氏とステージにいた。G氏は、リーホンよりも少し年上で、妖しいばかりに美しい容姿を持つ男だ。
リーホンは彼のためにピアノを弾き、G氏はリーホンを優しく見つめながら唄った..二人の視線はねっとりとからみあい、一つになっていく。
「きれいな男二人ってのも絵になるもんだなあ!」と、偵察に使われたジミーは、レイモンドにささやいた。
「音楽性も合ってるし、リーホンがこの店に引き抜かれないといいけどね?そうしたら、デビさん、怒り狂うだろうなあ!」そう、デビッドがリーホンを見る目付きが違うのは、店の誰もがわかっていた。気付いていないのは...リーホン本人だ。
「おっと!」二人がステージに視線を戻すと、そこには目を見張る光景があった。 リーホンの頬に流れる汗を、G氏が人さし指で、すううっ..と、優しくなでるように、それをぬぐったからだ。
「キャアアアアアッ!!」と女性ファン達から歓声が沸き起こる。でもそれは嫌悪ではなく、美しいけれど見てはいけない世界をのぞき見してしまったような、そんなワクワクする高揚感からであった。

Jimmy 店に帰った二人は、見たままのことを素直に話した。
「いやー、すごかったっすよ!Gさんがね、リーホンの頬を指でなでおろした時の女性達の嬌声といったら!」
「でね、リーホンもまんざらじゃないって感じでした。『エヘ♪』って感じで照れちゃってさあ。あれは絶対『愛』ですよね!『ラブ』!あはは〜。リーホンて、やっぱり女からも男からも愛されるタイプで..」
「ああー!!もういいっ!お前ら、もうしゃべるな!何も聞きたくない!」
そう言うと、デビッドは黒いTシャツの裾をキリキリと噛みしめた。
レイモンドはそんな彼を見て、少し胸の奥がせつなくなった。(そんなに..リーホンのことを?)と聞きたかったが、言葉にはならなかった。
Jay ガチャン!と、グラスが倒れる音がして、振り向くとそこには「Fantasy」の超人気ピアニスト・Jayが立っていた..
(杰倫、1年ぶり..か。少し大人の男になったな..)と、デビッドはかつて愛した青年を見つめた。
「陶さん、いやだ..あいつに..そんなに心を痛めているあなたなんて見たくなかった!」そういうと、Jayはドアを激しく開けて、走り去った。
「杰倫!おい、待てよ!」思わず、後を追おうとした。
「追うんですか!」レイモンドが叫んだ。「放っておけばいいじゃないですか..よその店の奴なんて!」そんな姿を見せつけられる彼も辛いのだ。
「そ、そうだよな。だいたい、あいつ勝手によその店に入って立ち聞きしてたんだよな!まったく..」ジミーが続けて言った。
「そうだな..何も気にする必要はないな。」デビッドは心を静めるように、うつむいた。

そこへ、頬を紅潮させたままのリーホンが、息を切らして出勤してきた。
「Hi、遅くなりました!」
デビッドは、その喜々とした表情を見た瞬間、理性が吹き飛んだ。
「ちょっとこっちへ来いっ!」そう言うと、リーホンの細い手首を荒っぽくつかみ、控室に押し込んだ。
「あうっ..デビッド、僕をどうするの..」リーホンはうるうるとした瞳で、彼を見つめた。
(そのキラキラとした濡れた瞳に..ついさっきまで、別の男を映していたんだな!)嫉妬の炎が胸一杯に広がり、そう叫びたかった。しかし、彼の口から出た言葉は
「..遅いじゃないか。出勤予定より、30分も過ぎてるぞ!」
「ごめんなさい、これから気を付けます。」と、リーホンは深々とお辞儀をして謝った。
「もう、いいよ。早く準備をして」デビッドはそう言うと、ソファに腰を下ろしてフウーッ..と深いため息をついた..

いろんな恋愛模様(爆)がからみあう、ナルシストに明日はあるのか!?

原案:はせさん、文・脚色:(c)梨花/文章、画像の無断転載、流用は厳禁です。2003/10/23

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