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ぐりぐり、ぐりぐり、ぐりぐり... ママは、今日も「若さを保つツボ」押しに余念がない。 「ねえ、トニーちゃん。最近、お客さんが減ったように感じるのは気のせい?」
(いや、気のせいではない。そもそもの原因はあなたでしょうが。店がオープンしてしばらくたった頃、「ちょっと疲れたからお休みちょうだい。あと、お願いね。」などと言い残し、南の島へ旅立ってしまったんじゃないか。おかげで、スタッフ達の士気は下がり、売り上げまで冷え込んでしまったのだ..) |
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「原因は、近くに新しい店が出来たからだと思いますよ。なかなか繁盛してるようです。うちに負けず劣らず、かわいい男の子揃えてるみたいですし、店の質もいいと評判です。」 まあ、それも原因の一つには違いない。 「へええ、かわいい男の子をねえ...それは強敵だわ。ちょっと偵察にいってくるわね!」 ママは、少し頬を紅潮させていた。 「へえ、オーナーとしては気になりますか?」 「そりゃあ、お客さんが流れてると聞いてはね。」 ふふふ、店のことなんかより、かわいい男の子という部分がひっかかったに違いないのに。そう思うと、トニーはついつい口元がゆるんだ。 |
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「ほんとに、すぐ近くだわ。でもなんかパッとしない感じの店よねえ。いったい何が、うちに勝るというのかしら..?」
そう、自分のゴージャス趣味を反映させた「ナルシスト」と違って、木製の重いドアが壁に埋め込まれただけのその店は、地味な印象を受けた。ドアには「Fantasy」という看板がかかっていた。
「いらっしゃい。初めてのお客様ですか?」
「キャアアッ、なんてかわいいのかしら!」思わず歓喜の声をあげそうになるのを、必死で押し殺した。 |
「いらっしゃいませ、ダニエルです。」
やがて現れた青年は、ノースリーブのシャツからたくましい二の腕を露出させていた。 「はううっ!なんて、この店はアタシのツボにヒットする子ばかり揃えてるのかしら!」 そう、この店のスタッフたちは、見事な肢体を惜しげもなくさらしていた。皆、そうとう身体を鍛えていて、自信を持っているようだ。
「はじめまして。どうぞよろしく」と、ダニエルは片ひざをつき、おしぼりを広げながら差し出す。盛り上がった二の腕の筋肉にときめきながらも、耳は流れるピアノの音と、声に聞き入っていた。
「あっ、あのちょっと!歌ってる男の子を呼んでくださる?」と、横に座ったダニエルの耳元にささやいた。
物好きな客だとでも言いたげな表情で、ピアノを弾くJayの方に歩いていき、歌い終わったと同時に耳打ちをした。ダニエルがあごでレスリーの席を示すと、Jayはけげんな表情で見つめた。
それだけ言うと、さっと席を立ち再びピアノに向かい、次の曲を弾き始めた。
「いやーん、領収書もらってくんの、忘れちゃったー!トニーに怒られちゃうん!」 次の日、ナルシストのロッカールームには、ママの達筆な字で書かれた社訓が貼られていた。
1、素肌にシャツ。 「いったい、何があったんだろう...?」子犬のように小首をかしげるトニーだった。 |
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