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かいてんきねんパーティ
「ほわんいん、ほわんいん!にーらいらあー!」

最初のお客様が入店されてから、続々と招待客が詰め掛けている。ママもトニーも大忙しだ。
「さあさ、みんな先に着替えてきてちょうだい。」
ママは店員たちにそういうと、また挨拶に向かった。

「やあ、君。北京から来たんだって?実は、僕もだよ。」
文卓が、振り向くと少し乱れた姿の「りー・りんちぇい」が立っていた。

「えっ、そうなんですか!嬉しいっす。同じ出身地の先輩がいるなんて。どうぞよろしくお願いしますっ!」
そう言って、勢いよく頭を下げた。

「あはは、元気がいいね。どうぞ、よろしく。じゃ、僕着替えてくるから..。君も、早く着替えなよ。」
「はいっ!」
ああ、よかった。同じ国の先輩がいてくれて。それにしても、なんてさわやかで笑顔の素敵な人だろう。背は、僕よりだいぶちっちゃいけど...おっと、早く着替えてこなきゃ!

皆は、足早にロッカールームに向かった。


「オープンおめでとう!乾杯ー!」
招待客も店員も、グラスを挙げて祝った。

「ありがとうございます!皆様のお引き立てのおかげで、こうしてオープンにこぎつけました。今後とも、ご愛顧よろしくお願いします!」
ママは、感激のあまり、瞳をうるませながら挨拶をした。
テーブルには、フォアグラにキャビア、巨大なアワビの蒸し焼きや、ツバメの巣など、世界中から集めた珍味が並んでいた。

「すごいっすね!みんな、きれいなかっこして。しかも、こんな食べ物見たことないっす!」
卓卓は、場違いなかっこうでおどおどと、あたりを見回して言った。

「なんだ、こいつ。ほんとに、いなかものだなあ...」
と、イーキンは心の中で思った。しかも、なんだ。この黄色いジャンパーは!ここは、トラックの運ちゃんの飲み会じゃないんだぞ...まず、こいつのファッションセンスから教育し直さなきゃいけないな。でも大丈夫さ、おれってこんなにかっこいいもんな、フッ...そう思いながら、イーキンは髪をかき上げた。

「あっ、りんちぇさん。今日は、それでいくんですか?相変わらず、きまってますね!」
卓卓は、イーキンが声をかけた方に目を向けた。が、そこにりんちぇいはいなかった。

「あのお、イーキンさん。今、誰に声かけたんですか?」

「りんちぇさんに決まってるだろ。」
よくよく見ると、こちらを振り向いている愛らしいくーにゃんがいた。

「か、かわいい子っすね。彼女は、招待客ですか?」
「何言ってんだよ。おまえは!あれが、りんちぇさんだよ!」
卓卓の脳天に、感電したような衝撃が走った。あまりのことに声も出せないでいると、りんちぇは駈けよって、嬉しそうに卓卓に抱きついた。
「僕だよ!僕!なに、驚いてんだよお!」

「あ、あの、あの...」
ショックのあまり、言葉にならない。そんな、ウソだ...さっきまであんなに男らしかったりんちぇさんが、こんな可愛いくーにゃんになるなんて!

「りんちぇさんの、レパートリーはこれだけじゃないぞ。ところで、お前は何ができるんだ?」
「何って..何のことですか?」
「おいおい、お前はここで何を売りにしていくかってことだよ。まあ、おれはこのとおりの美形だからな。お客様に目の保養をしてもらう。で、得意なジャンルは何だよ?」

「はあ、強いて言えば、自分は刺しゅうが得意っす。」
「じ、地味な特技だなあ..そんなの、お客様のテーブルでやる気かよ!」

「れでぃーすあんどじぇんとるめーん、いっつあ、しょーたーいむ!」
トニーの司会で、華やかなスポットライトがステージに集まり始めた。真ん前に陣取ったお客様達は、手に手に蛍光棒を持っていた。

「いったい、今から何が始まるんですか!?」
あまりのまぶしさに、目を細めながら卓卓がイーキンに尋ねた。
ステージにはダンサー達が現れ、続いて怪し気なロン毛をした、男とも女ともわからない人物が歌い始めた。
「おお〜、もんさ〜んすいみーん、おおおー、のうが〜うちー♪」
お客も、ダンサーもこの人物と同じ振り付けで踊り始めた。

「お前、運がいいな。入店してすぐ、ママのステージが見られるなんて。しっかり勉強しとけよ。」
興奮した客が、叫び始めた。「レスリー!レスリー!レスリー!」

「れ、れ、れすりー!?まさか..あれが、僕を連れてきた社長さん!?しかも、ママって何!?」

「そうだよ。何をいまさら...」
卓卓は度重なるショックで目まいを起こし、ふらふらしていた。

「ああ、僕、僕はとんでもない世界に足を踏み込んでしまったんじゃないだろうか...」
やっと、この店のことを理解し始めた卓卓だったが、時すでに遅し。これからの自分の将来を考えるには、あまりにもこの夜のショックは大きすぎた...


ついに、ナルシストの業務内容を知ってしまった卓卓。彼にこの仕事が勤まるのか!?
次回「ライバル店出現!」に続く。

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