Bar「ナルシスト」開店準備中
Leslie 「うーん、何かが足りないのよねえ...」

開店を目前に、控えたある日。店の音響チェックをしながら、ママのレスリーはつぶやいた。
「内装もアタシ好みのゴージャスにしたし、可愛い男の子も揃えたしー。
でもねえ...トニーちゃん。うちの店には、もう一つ何かが足りないと思わないー?」

トニー「えー..そうですね。僕はそういうことは、よくわからないんで..
そもそも、ママはこの店をどういう方向に持っていくおつもりで?」

そう、それが問題であった。いったいここを、ゲイバーにしたいのか、ショーパブにしたいのか、それともホストクラブにしたいのか...
黒服として働くことになっているトニーは、考え始めた。

ママとは、スナック「欲望の翼」でお客同士として知りあい、もうかれこれ10年のつきあいになる。が、今だにこの人の考えはよくわからない。
数年前、ママがとあるホストクラブで働いていた時、こんなことがあった。

突然「アタシ、水商売飽きちゃった。もうやーめた。」と、言いだしてカナダへ逃げてしまったのだ。

ところが、「あんまり面白くなかったわー。だってさー、田舎ってたいくつじゃあない?やっぱり、アタシは常にナンバーワンとして輝いてないとね。」
などと魅惑的なワガママをいい、1年も経たないうちにあっさりこの世界に復帰してきたのだった。
だから、いつまでこのお店経営に力を入れていることやら..それを思うと、トニーの眉間にはいつもより多く、シワがよるのであった。

そんなトニーの考えなど、想像もしないママは能天気に言い放った。
「あ、トニーちゃん。あなたも、たまにはお店に出てよね!」
「ぼ、ぼ、ぼ、僕がですかあー!!」 思わず、声も裏返ってしまう。

「そうよー、お客様のあらゆるニーズに答えないとね!中には、あなたみたいなおカタイ男が好きっ、ていうご婦人もいらしてよ。ご婦人だけじゃないかも..ウフ!」
最後の「ウフ!」の前あたりが、すごーくひっかかるトニーであった。

「そうだわ!ねえ、ガタイのいい男の子を何人か揃えた方がいいんじゃない?ねえ、あなた知りあいとかいないの?」

「いやー、僕の友人達は水商売には、あんまり興味がないやつばっかりで...」
「頼りにならないわねえ、んもう!いいわ。アタシが旅行をかねて、ちょっとスカウトに行ってくるから!」

「そんな開店前の、この忙しい時期に!いったい、どこに行くつもりなんですか?」
「北京よ。」
「えっ?北京、ってなぜ北京なんです?」

「だってー、あんまり遠出もできないし。さっき、思いついたのよー。こないださー、ニュースステーションでね、北京体育大学ってのが映ったのー。そしたらね、もうすっごくガタイのいい男の子がいっぱいいたの!ウフッ!
ねえ、行ってみる価値はあると思わない!?」

はああ、何が価値だか..この人の思いつきは今に始まったことじゃない。.ようするに、この人はああいう筋肉質なのが好みなんだな。しかも、若いうちから手なづけておこうということか。
しかし、この人の見る目が確かなのは認めるところだ。彼が連れてくる男の子は、みないい逸材ばかりなのだ。

「はあ、わかりました。スカウトの方は、ママにおまかせします。でも、早く帰ってきてくださいね。そんなに長く僕一人では、きりもりできませんし..」

「あー、どんなお洋服着ていこうかしら..こないだ買った毛皮のコートがいいわね。向こうは寒いから。」

やれやれ、人の話なんてまるで聞いちゃいない。心はすでに、海を越えているようだ。トニーは一人、深いためいきをつくのだった。

とーっても、無理やり北京に飛んでいったレスリーママ。
果たしてスカウトは無事成功するのかっ?「ナルシスト」は無事開店を迎えられるのか!

次回「北京スカウト編」へ続く...


「ナルシスト」は近日開店。あなたのご指名お待ちしています。
mama 伊健 Lianjie tony
当「ナルシスト」のママ、レスリー。
「アタシもお店に出ますので、よろしくね。ウフッ!」
笑顔がさわやか。イーキンくん。
「やあ、ぼくの英名はディオール。ここで、いっぱいお金貯めてさ、ディオールの服いっぱい買うつもり。」
華麗な女装。リンチェイさん。
「うふふ、あたしの女装のレパートリーは、これだけじゃなくってよ。」
きっちりお店を仕切る、黒服トニー。
「いや、僕は店に出るのはちょっと..」

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